建替えについて

既存の建物を解体撤去し、新たに立替える選択肢です。
現状の問題を解決し、大幅な居住性能や資産価値の向上が得られるというメリットがあります。

建替えは、一般的に築60年程度から検討し、築70年程度で実施されることが多いです。
国土交通省が発表した資料によると、2011年に実施された固定資産台帳の滅失データをもとにした調査ではマンションの平均寿命は68年と推測した研究結果もあります。

※国土交通省「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について

しかし、建替えのハードルは非常に高いです。

(1)区分所有者の費用負担が大きい
マンション建て替え時にかかる費用は、戸当たり1,000~3,000万円といわれています。
修繕積立金の残高は各区分所有者に返還されますが、その費用では建替え費用を賄えない可能性が高いです。

(2)建て替え決議までのハードルが高い
マンションの建て替えは総会で、区分所有者及び議決権の5分の4以上の賛成が必要です。
2024年の法改正で、4分の3以上の賛成に変更になる可能性があります。

(3)現行の建築基準法に適合していない
詳しい調査が必要ですが、現行法規に沿った場合、マンションの規模を縮小させる必要があります。
マンションの老朽化問題についての対策の議論を行い、建替え・解体等又は修繕・改修の方向性 が出た管理組合は13.3%となっている。

マンション建替えの実施状況

2023年3月時点で累計282件、2022年は274件と1年間で建替えたマンションは8件のみ

建替えを行わない場合、大規模修繕を実施していくことになりますが、大規模修繕工事は建物の効果を維持するもので、改善を目的としたものではありません。
さらに住戸内のリフォームは個人負担となります。

引用元:大和ハウス工業